帯状疱疹ワクチンで認知症予防?総合内科専門医が最新論文を解説!
「最近、もの忘れが増えた気がする」「将来、認知症にならないか不安…」 40代・50代を過ぎると、ご自身のこれからの健康や、ご家族の介護のことが頭をよぎる瞬間が増えます。実は今、帯状疱疹ワクチンを打つと、将来の認知症リスクが下がるかもしれないという研究データが発表され、大きな注目を集めています。
「痛い皮膚の病気」というイメージの強い帯状疱疹ですが、なぜ脳の健康に関係しているのでしょうか?今回は、世界的な医学雑誌に掲載された大規模な最新論文をもとに、総合内科専門医の視点から分かりやすく解説します。

20万人以上のデータが証明!最新の帯状疱疹ワクチンで認知症リスクが17%低下
2024年、世界で最も権威のある医学雑誌の一つ『Nature Medicine』に、非常に興味深い論文が掲載されました。イギリスのオックスフォード大学などの研究チームが、米国の20万人以上のデータを活用し、新しく主流になった「組換え型帯状疱疹ワクチン(製品名:シングリックス)」の効果を精密に分析したものです。
その結果、従来の生ワクチンを接種した人と比べて、組換え型ワクチンを接種した人はその後の6年間で認知症と診断されるリスクが17%も低いことが判明しました。これは、認知症にならずに自立して健康に過ごせる期間が平均164日間も延びた計算になります。
また、この認知症リスクの低下は男女ともに確認されましたが、特に女性においてより強い効果が見られたことも大きな特徴です。さらに、高齢者がよく接種するインフルエンザワクチンなどと比較しても、組換え型帯状疱疹ワクチンの方が認知症リスクを低く抑える傾向が示されています。
帯状疱疹ワクチンが脳の健康に寄与する理由とメカニズム
一見つながりがないように思える帯状疱疹と認知症ですが、医療の世界では「ウイルスの活動による脳への影響」が原因の一つではないかと長年疑われてきました。その関係性を整理すると以下のようになります。
| 体内に潜むウイルス | 子どもの頃にかかった「水ぼうそう」のウイルスは、治ったあとも神経の奥にずっと眠っています。 |
|---|---|
| 免疫低下で再活性化 | ストレスや加齢で免疫が落ちるとウイルスが再び動き出し、神経を伝って皮膚に激しい痛みや発疹を引き起こします。これが帯状疱疹です。 |
| 脳への慢性的な炎症 | ウイルスが脳や神経の近くで悪さをしようとすると、脳内で慢性的な炎症が起こり、これが認知症の原因物質の蓄積を後押ししてしまうと考えられています。 |
今回の最新論文では、ワクチンによってヘルペスウイルスの感染や再活性化を強力に防ぐこと、そしてワクチンに含まれる免疫刺激物質(アジュバント)自体が脳の保護に寄与している可能性などが考察されています。
50歳を過ぎたら始めたい未来の自分を守るための予防医療
帯状疱疹は、80歳までに3人に1人が経験すると言われるほど身近な病気です。発症すると強い激痛に襲われ、治った後も何ヶ月も神経痛(帯状疱疹後神経痛)に悩まされる患者さんを、私たちは日々たくさん診察しています。
現在、主流となっている組換え型ワクチン(シングリックス)は50歳から接種可能です。辛い激痛と後遺症を防ぐと同時に、将来の認知症リスクを遠ざけることができるかもしれないという科学的なデータは、これからの生活を安心して送るための強力な選択肢になるはずです。
当院では、50歳以上の方を対象とした帯状疱疹ワクチン(シングリックス・要予約)の接種を行っております。調布市国領町周辺にお住まいの方はもちろん、狛江市中和泉や西和泉、元和泉エリアからも、多くの方に通院いただいております。
当院は循環器や総合内科、救急の専門医として、生活習慣病のコントロールからワクチンのご相談まで、家族全員の健康をトータルでサポートいたします。「自分は今打つべきか」「費用や副反応について詳しく知りたい」という方も、どうぞお気軽に外来でご相談ください。
| クリニック名 | 佐野医院 |
|---|---|
| 住所 | 東京都調布市国領町7丁目66-29(調布市医師会所属) |
| アクセス | WEB予約対応・駐車場あり |
【引用文献】
Taquet M, et al. The recombinant shingles vaccine is associated with lower risk of dementia. Nat Med. 2024 Jul 25;30(10):2777–2781. doi: 10.1038/s41591-024-03201-5
